おでかけクリニック:院長 藤井 和世
施工:株式会社フジイ工務店
用途:診療所(精神科・診療内科)
場所:千葉県市川市
改修内容:内装の一部、階段改修、衛生設備改修など
改修面積:約90㎡
改修費用:約250万円
今回は、地域に根差した活動をしている藤井 和世さんが院長となって開院する「おでかけクリニック」オープンのお手伝いをさせていただきました。
「市川はやりたいことができるところなので、ここで私の仕事をしていきたいんです。」
子供の保育園が一緒だったこともあり懇意にしていた藤井さんが、当初お会いしたころに話していた言葉です。
それから3年ほど、深い話をするようになり、
「市川市で精神科医療に関わり地域で精神科の患者さんが受け入れられていく場所を作りたい」
と話して下さいました。長年の精神科医療に携わる中で藤井さんは
「精神科にかかる患者さんは医療だけではサポートしきれない、地域の中で受け入れて生きていく場所を作っていく必要がある」
と、医療の枠組みから飛び出して活動していくことを決心されました。
まずはその一歩、訪問診療をメインとするクリニックを2023年1月10日にオープン、その内装は元の住宅のような温かい雰囲気の建物を活かしつつ、低予算で診療所として使用できるようにしました。
1階にある光の入りにくい和室は、以前の砂壁から明るい色の壁紙に♪
床の間も明るくなり待合室として気持ちよく使えるようにしました。
診療所の玄関は隣にはコミュニティスペースを併設し、行き来きはできないものの(※)、見通せるつくりになっています。
下足棚や小物は藤井さんがコツコツ準備、センスの良さを感じます♪
※医療法上多用途空間との行き来不可。
診療所とは別にコミュニティスペースを併設することで、地域の中でのつながりづくり、活動拠点として活用できるよう考えられています。
筆者個人的にも、藤井さんの活動に賛同しボランティアで参加しています。
今後の活動が地域を元気にすることに繋がると確信があるので、どんどん協力をしていこうと考えています。
建築的な話をすると、今回の建物はS造の丈夫な構造を持った建築なので、内装を一新することで長く使っていけるものです。
外部建具に軋みなどの気になる点はあるので、どこかの段階で設備を含めた大規模な改修が必要になるものの、この先何10年かの使用が可能です。
このような診療所(無床)の小規模な計画でたびたび問題となるのが、消防への届け出の手続き費用負担。
今回、消火器の設置届に消防設備士の資格は必要なのか?について調べましたので、この話題については別記事で掲載したいと思います😊
おわりに
店舗づくり・住まいづくりには一件一件の物語があります。
クライアントの人生そのものの物語の一部に関われるのが設計のお仕事でのやりがいです。
空間づくりに向けて一緒に過ごした貴重な時を通して、出来上がった空間が活かされることに大きな喜びを感じます。
何を一番大事にしたいのか、建築的なことで明けでなく目的や将来ビジョン、そのような点から一緒に考えていきます!
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